なぜ、私じゃないのかと思った

なぜ、私はここにいるのかと

なぜ、あの子の隣にいないのか、と



【それいけ☆アリサちゃん SS】

第3回 「魔法少女アリサちゃんなんだからっ!!」



「さあ、はやく!」

リーフは窓を開けた。さわやかな夜風が気持ち良かったが今はそんな

場合ではない。

「行くって窓から!?空でも飛んでけっての!?」

「その通りです!」

そういえばさっきからリーフは宙に浮かびながら移動してる。

「あたしもあんたみたいに飛べるっていうの?」

「説明してる時間はありません。ダイヤモンドハートを強く握って”

空を飛ぶイメージ”をして下さい」

「空を飛ぶイメージ…」

ようは床から離れて自分が宙に浮いてる…今のリーフみたいな状態を

イメージすればいいのだろうか?

私は眼をつぶって集中する。

そして、右手にあるダイヤモンドハートを強く握る!

ふっ…。

「あ」

浮いてる…。あの時のなのはとフェイトみたいに…。

「マスター!次は前に進むイメージです」

なんとなく分かってきた。

多分、だけど空を飛んで移動するくらいなら行けそう。

「じゃあ行きましょうリーフ。空の飛び方は大丈夫だと思うわ!」

よっ、と窓から外に出る方角は…正面ね。

「マスターの周りに結界を張りました。魔力のない一般人には見えま

せんから気にしないで下さい。それと、スピードのコントロールはま

だ難しいと思うのでこちらでコントロールします」

「わかったわ」

高度を上げて目的地の方へ飛んでいくイメージ。

ある程度進んだらすぐ横にリーフが来ていた。

「じゃあスピードあげますねー」

「あ、うん……わっ!」

はやいっ!!

なんかこう…ジェットコースターとまではいかないけど。でも

空気抵抗は少ない。これも結界とやらの効果なのだろうか。

気持ちいい…。

夜風を感じているとすぐに目的の場所へ着いた。

街が見渡せる山だ。

この場所で魔法の練習をしてたってなのはに聞いたことがある。

あ、…いた。

巨大な黒々で人の形をした何かが木を踏み倒している。

なんかこう…闇を身にまとってる感じ。

RPGなんかにでてくるボスみたい。

やっぱしアレと戦うのだろうか…。

「まだ被害は少ないですね。マスター、ダイヤモンドハートを強く握

って下さい。そして眼を閉じて、心を澄ませて…私の言うとおりに繰

り返して下さい…」

「え、あ、うん」

なんだかよくわからないけど言われたとおりにしよう。

ダイヤモンドハートを胸の前で強く握る。

心を澄ますっていうのはきっと落ち着かせる感じなのだろう…。

全てを受け入れるように。

『我、力を欲するものなり』

私はリーフの言葉通りに復唱していく

暖かい…。ダイヤモンドハートから温もりが伝わってくる…。

『契約の元…その想いを解き放て』

ドクン…。

『光は闇に…月は夜に……砕けぬ心はこの胸に!!』

強く握った手を解き放ち空に掲げるっ!

『ダイヤモンドハート…セットアップ!!』

私の体が光に包まれる。

全身が温かい日差しを浴びてる感じ…。




パキーンとガラスが割れるような音と共に光の中からアリサが出現し

た。

その服装は先ほどの部屋着とは違いなのは達、魔導士のような服装に

なってる。

漆黒のマントに白と黄色をベースにしたバリアジャケット。

そして、先ほどの宝石の形から杖の形に変化したダイヤモンドハート



「…これは?」

アリサは自分の服装を見て驚いたような表情を浮かべる。

「バリアジャケットです。マスターも高町なのは達の戦闘スタイルは

みていますよね?それがあなたの戦闘スタイルです!!」

リーフの説明が終わると同時に黒い物の右腕がアリサに向かって振り

下ろされる。

「きゃっ!」

思わず杖を前にだすアリサだったがその必要もなかった。

見るとリーフが片腕を突き出してバリアを展開している。

「リーフ?」

「マスター、よく聞いて下さい。私は防御の魔法しか使えません。そ

して、マスターは攻撃の魔法しか使えません。つまり私たちは二人で

一人みたいなものですので。防御は私に任せてマスターは攻撃に集中

して下さい」

「でも、攻撃なんて…そもそも魔法なんて…」

いつもの気丈な態度とは違いオロオロするアリサ。かなり混乱してい

るようだ。

「大丈夫です!空を飛んだときの事を思いだして下さい…要領はあれ

と同じです。そして、なにより…」

リーフは防御の魔法陣を展開してからはじめてアリサの方を向いた。

「あなたは”魔法使い”なんです!!」

その自信に満ちた表情はアリサに勇気と”力”を与えた。

(そうだ…イメージするんだ…)

杖の先に魔力を集めて目の前の敵にビームのように放出するイメージ

…。

アリサはすっと眼を閉じてさらにイメージをふくらませる!!

(夜の闇に浮かぶ月………闇を照らす一筋の……光!!!)

リーフはバリアで黒い物の腕をはじき飛ばす。

その瞬間、アリサの魔法が完成した。

「ムーンライト…バスター!!!」

薄黄色に光るその砲撃は黒い物を完全に飲み込み消滅させる。

そして、後に残るのは黒く輝く菱形の物体と焼けこげた森だった。


続く
  


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